

携帯電話基地局
通常は、屋外で高速移動中でも安定した通話・通信が可能。基地局を整備することにより、広いサービスエリアにおいて利用可能。第三世代携帯電話は、高速パケット通信と高い周波数利用効率が特長。なお、高速な無線アクセスとしても利用可能であるが、利用形態によっては高額な課金となり、この現象が俗にパケ死と呼ばれる。また、電話機端末単体による通話・通信の総トラフィック(データ量)に占める割合が高い傾向にある。また、デジタルツールとしての多機能化も関係している。
携帯電話での音声伝送方式は、当初はアナログ方式を採用しており途中からデジタル方式へと切り替えられた。当初サービスが開始された時点でのアナログ方式での通信は、暗号化されずにそのまま送信されていたため、ノイズが乗りやすいだけでなく、傍受が容易に行えるという欠点があった。そのため、強固な暗号化が可能なデジタル化が行われた。
国によってはその頃、固定電話網もアナログ方式からデジタル方式 (ISDN) への切り替えが進んでいたが、固定電話網のデジタル方式はパルス符号変調 (PCM) であるのに対し、携帯電話網の方はより圧縮度の高い音声コーデック(主に AMR 形式)を使用している。両電話網の相互接続通話の際には、アナログ方式同士ならば単純だが、デジタル方式では(アナログ・デジタル併存の時期を含め)コーデック変換が、網関門交換機において必要である。
また、音声コーデックの方式は携帯電話事業者やサービス種別によって異なるため、事業者相互・方式相互の音声コーデック変換も必要となる。このため、コーデックの組み合わせによっては変換ロスにより、音声の品質が劣化してしまう。基本的には、同一事業者・同一方式の携帯電話同士の通話では変換によるロスは起こらないため、本来の通話品質を発揮できる。
当初の携帯電話には通話機能しか無かったが、音声通話のデジタル化により端末全体がデジタル化し、これによりパケット通信によるデジタルネットワークへの接続が可能となった。デジタルネットワークの中でも、世界的に普及しているインターネットへの接続が早くから行われ、携帯電話でインターネット網にアクセス出来るようになった。クライアント化である。
これにより携帯電話を対象にしたウェブページが携帯電話会社から公式サイトとして設立されたり、また個人でインターネット上に携帯電話を対象にした勝手サイトと呼ばれるサイトが開設されるようになる。さらに携帯電話の高速通信化により、通信機能を利用して携帯電話で金銭の管理を行うモバイルバンキングやオンライントレードも行えるようになっただけでなく、動画コンテンツの閲覧も可能となった。
従来、携帯電話ではそれのみを対象にして作られた簡素なHTMLによるウェブページしか表示できなかったが、近年ではブラウザを搭載した端末も実現し、パソコン向けに作成されたコンテンツの閲覧が可能となった。
各地域での携帯電話の通信規格(方式)はおおむね以下のようになっている。
| 地域 | 1G | 2G | 3G |
|---|---|---|---|
| 日本 | TACS、HiCAP | PDC、cdmaOne | CDMA2000、W-CDMA |
| 韓国 | cdmaOne | CDMA2000、W-CDMA | |
| 北米 | AMPS | GSM (850/1900MHz)、cdmaOne、D-AMPS、iDEN | CDMA2000、W-CDMA |
| その他 | TACS | GSM (900/1800MHz)、cdmaOne、D-AMPS、iDEN | CDMA2000、W-CDMA |
第一世代携帯電話 (1G) はアナログ方式。モトローラのTACSやNTTのHiCAPなどがある。
第二世代携帯電話(以下2G)はGSM方式が世界的に主流となっている。日本と韓国では、GSMは採用されていない。日本では PDC (Personal Digital Cellular) という独自の方式が主流だったため、独自の端末やサービスが普及する一方、海外端末メーカーの参入や国際ローミングサービスが進まず「鎖国」的状態にあった。韓国では、アメリカのクアルコム (Qualcomm) 社のcdmaOne (IS-95) という方式を全面的に採用し、サムスン電子やLG電子などが国際的に飛躍する基となった。北米はEUとは異なり、政府は携帯電話事業者に技術の選択について強制せず、各社の選択に委ねた。結果として、GSMとcdmaOneがほぼ拮抗しているのが現状である。
第三世代携帯電話(以下3G)は、2Gが各国・各地域で独自の方式、異なる周波数を採用し、全世界での同一方式の利用が出来なかった反省を踏まえ、第三世代携帯電話の規格、IMT-2000の決定においては、携帯電話を全世界で利用できるようにするための指標が立てられた。しかし、規格策定の過程で、W-CDMAとCDMA2000が並行採用という形となり、GSM陣営はW-CDMAへ、cdmaOne陣営はCDMA2000へ移行することとなった(南北アメリカ・アジア地域の一部)。中国政府は、自己技術育成の観点から独自のTD-SCDMAを導入しようとしている。また3G技術の特許代に関し、「クアルコム」のライセンス価格が高すぎるとして、Qualcommと電話機ベンダー(販売会社)、チップセットベンダー数社の間で、現在係争中である。
日本ではNTTドコモ、ソフトバンクモバイルがW-CDMAを採用し、国際ローミングや海外メーカー参入が促進されている。KDDI (au) は2GはcdmaOne方式のためCDMA2000方式を採用している。ただし、日本のcdmaOneおよびCDMA2000は、UHFテレビ放送波との干渉回避のため、上りと下りの周波数が他国と逆転している。このためグローバルパスポートCDMA端末以外では国際ローミングができない。
先進国やcdmaOne陣営のほとんどは3Gの導入が済んでいるが、GSM陣営では、ユーザーがより安価なGSM端末を好む傾向もあるため、コストがかかるW-CDMAへの移行は進んでいない。安価なGSM端末は、高価なW-CDMA端末より人気がある。スマートフォンなどの高価なGSM端末でも、電池の軽量化を図って消費電力の多いW-CDMAやCDMA2000などの3Gには対応しない端末もある。またGSMでもEDGEやEDGE Evolutionを用いて3G並みの高速なデータ通信ができる。
このため、GSMのサービスの停止時期を打ち出しているGSM事業者は2008年現在、存在しない。
発展途上国では、固定電話網の未整備を補完し、低価格でデータ通信網込みで広域エリア化するために、最初からCDMA2000技術を400MHz帯に使ったCDMA450による3Gネットワークの導入なども行われている。
2006年の世界携帯電話販売台数における比率は、GSMがおおよそ7割弱、CDMA (cdmaOne + CDMA2000) がおおよそ2割強、W-CDMAは1割弱である。
第3.9世代移動通信システムでは、日本は4社ともLTE方式を採用する見込みである。
料金は基本的に、音声通話の場合は通話時間、データ通信の場合は通信時間またはデータ量で算出されるのは国際的に共通であるが、通信事業者が複数ある分だけ、選択肢は多い。プリペイド(前払い)、ネットワークを自前で持たない仮想移動体通信事業者 (MVNO) によるサービスもある。
プリペイドの場合、基本料金はないが、最後に入金してからの経過日数によって有効期限が定められているため、使用頻度が低くても定期的に入金する必要はある。EUは、全般にプリペイド比率が高い。
アメリカなどでは、音声通話は一定時間まで定額であるのが一般的である。また、夜9時以降および週末の通話は無料になる契約が多い。その反面、一般的に、電話を掛けた側だけでなく、受けた側も通話料が発生する。
2007年現在、世界の携帯電話で使用される通信方式はGSMが約7割を占めている。GSMでは、音声通話サービスはもとより、データ通信サービスの仕様までもが、ほぼ共通化されている。また、技術的には、SIMカードを交換することにより、通信事業者を変えることが可能である。このため、端末メーカは最初に世界共通モデルを開発して、必要な場合にだけ、小規模の特定事業者向けのカスタマイズをするのが主流である。
海外ではひとつの機種でもメーカーの出す業界標準の機能のみを搭載している「スタンダードバージョン」とキャリア独自のサービスを付加したものの2種類販売されている。前者はSIMロックがかかっていないため通信方式が同じなら世界中どこでも利用できる。後者はインセンティブ制度のもと、SIMロックがついて販売されている。この辺の事情は日本と同じであるが、インセンティブの額は、日本は突出して大きい。
マーケット規模の巨大なGSM携帯電話は、世界規模での大量販売による価格競争が行われ、膨大な出荷台数を獲得している。
WHO(世界保健機関)の一部であるIARC(国際がん研究機関)は2011年5月31日、発がん性リスクをランク分けする表(IARC発がん性リスク一覧)の中で、「携帯電話の使用」を、4段階中、上から3番目の「発がん性の可能性あり」(=group2B)のカテゴリーに入れたと発表した。